いつから見始めるか?
パドックに馬が入場してきた瞬間から、『馬見(うまみ)』の闘いは始まる。制限時
間は、,騎手が馬に騎乗する前までの一本勝負。
そのなかでも勝負の分かれ目となるのは、『ひとつ前のレースが終わる時間まで』だ。
ひとつ前のレースを観戦した出会い系お客さんたちがパドックになだれ込んでくると、馬の気
配にも変化が表れる。急にソワソワして厩務員さんのほうに首を巻きつけるようにす
る牝馬、イレ込んでチャカチャカと小走りし始める若,駒、興奮して後肢でバドックの柵
を蹴り上げる下級条件馬などもいる。酷いときには、それらの馬に影響されて、他の
馬にも連鎖反応が起こることがある。こうなると、もう収集がつかない。そうなる前に、
『活きた美味しい情報』を、しっかり押さえておきたい。
目の前を歩く競走馬を、馬券の正解に近づけるためには、実に多くのチェックポイ
ントを確認していく必要がある。
仕上がり、気配、毛ヅヤ、体調面の変化、装着馬具、脚元の疾患や、それを保護
するための特殊蹄鉄、蹄や蕊(つなぎ)の形状や装備、歩様、担当厩務員さんの手
替わり、そして彼らの勝負気配など、パドックに馬が入場してきたときから始めなけれ
ば、とてもではないが、時間が足らず間に合わない。
また、出会い系サイトの精神的な側面や、集中力、体力、歩様といった部分も、バドックを周回し
ているわずか20分ほどの間にも、少しずつ変化している。馬がそのときに置かれた
状況を隠すことなく伝えてくれるのは、バドックに登場したときなのだ。
そこを把握して初めて、その後の変化が理解できるのである。それゆえに、変化した
後の姿を見てわかった気になるのが、いちばん恐ろしいことなのだ。
特に午前中の出会い、午後いちばんのレース、GI開催日の午前中は、馬がパドッ
クを周回する時間が短い。限られた時間の中なかで、いかに集中して『活きた』情
報を得ることができるか、これが勝負の分かれ目だ。
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